さなメモ(毎日更新)

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ヤマザキマリさん、おめでとう!

2010年03月18日(木) 6:50:33

あれはもう3年も前になるのか…。
家族でポルトガル極楽旅行をしたのだが(本当にすばらしい旅行だった。第一日目から辿るならこちらから)、リスボンでマンガ家のヤマザキマリさんと初対面した。会った瞬間から違和感なし。すぐにとても親しくなった。

札幌にYOSAKOIソーラン祭りの審査員として行ったとき、「ポルトガルに行くならヤマザキマリさんに会わなくちゃ!」と数人から勧められ、紹介していただいたのがキッカケである(彼女は札幌出身でテレビのリポーターとかもしていた)。「モーレツ!イタリア家族」というヒットも持っているマンガ家さんだが、イタリア人のベッピと結婚した後、彼(大学の研究者)の転勤に伴い、リスボンに住んでいたのである。

で、その後、彼女&息子さんの来日時に遊んだりした挙げ句、イタリアにある彼女の旦那の実家に泊まりに行くまでに至った。そう、モーレツ家族の元に泊まりに行ったのである(これもすばらしい旅行だった。その様子はこちらから)。たった数年のつきあいとはいえ、こうしてわりと濃いつきあいになったのである。ちなみに彼女のマンガ「それではさっそくBuonappetito!」にボクもちらっと出演していたりする。

そのヤマザキマリさんの新作「テルマエ・ロマエ」が、なんと「マンガ大賞」を受賞した!

マンガ大賞:「テルマエ・ロマエ」が大賞 古代ローマと現代日本の風呂がつながる

 「マンガの直木賞」を目指し、マンガに詳しい書店員や記者らがその年一番のマンガを選ぶ「マンガ大賞2010」(同賞実行委員会主催)が17日発表され、ポルトガル在住のマンガ家、ヤマザキマリさんが「月刊コミックビーム」(エンターブレイン)で連載している「テルマエ・ロマエ」が大賞を獲得した。授賞式で、ポルトガル・リスボン在住のヤマザキさんはインターネット電話を通じて、「受賞は直前まで信じられなかった。インターネットで会場の状況を見て初めて実感した。我が家には(日本式の)お風呂がないので、お風呂に対する渇望があった。この憤りをそのままマンガにしたのがこの作品」と喜びを語った。

 09年1月1日~12月31日に単行本が出版され、通巻8巻以内のマンガが対象(過去の大賞作は除く)。書店員や記者、タレント、アナウンサーら89人の選考員の投票をまとめ、上位10作をノミネートした。2次審査ではノミネート10作を対象に投票し、1位を3ポイント、2位を2ポイント、3位を1ポイントで計算。「テルマエ・ロマエ」が94ポイント、小山宙哉さんの「宇宙兄弟」(講談社)が89ポイントだった。

 「テルマエ・ロマエ」は、古代ローマ時代の風呂限定の設計技師・ルシウスが、なぜか現代の日本の銭湯や温泉、浴槽にタイムスリップするようになり、風呂上がりのフルーツ牛乳やシャワー、あかすりタオル、シャンプーハットなどを知り、ローマで再現して名声を得ていく……というストーリー。09年11月に1巻が発売され、30万部を発行している。

 同作品は、ヤマザキさんが同人誌用に描いたものを、マンガ家の三宅乱丈さんが「コミックビーム」の編集部に紹介し、連載が始まったという。ヤマザキさんは「イタリア人の夫が、とてもまじめで内面はルシウスそのもの。彼にはこのマンガが理解できないみたい」と語り、女性読者が多いと聞き、「信じられない。男性ですら読者を選ぶ作品だと思っているのにどうして? こっちが聞きたいくらいです」と驚いていた。(引用元;毎日新聞デジタル


テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)いや、ホント、おめでとう!

彼女のブログはいつも読んでいるが、ちょうど3年弱前にテレビシリーズの「ローマ」にはまっている様子が描かれていた。はまった挙げ句、ローマを舞台に日本と結びつけて描いたのがこの作品。最初はほとんどシャレとして描き始めたのだったと思う。本人はたぶん、そのちょっと前から描いていた「ルミとマヤとその周辺」の方が力入っていたのだと思うが、こういう風に「思いも寄らぬものが賞を獲る」というのはよくあること(ボクが関わったスラムダンク一億冊感謝キャンペーンもそうだった)。

ローマ人のルシウスが現代の日本で出会ういろんなものに驚く部分が実に面白いこの作品。実は「日本の良さ再発見の書」にもなっている。遠きポルトガルで日本欠乏症に苦しんでいるマリさんならではのこの作品。まだの方は、ぜひ。

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桑田真澄、すごい

2010年03月17日(水) 7:38:37

ツイッターをやっていると情報があっと言う間に古くなる。
昨日ツイッター上で盛り上がったことは今日にはもう古く、「あれ? それって昨日起こったことだっけ? もっと昔にあったことかと思ったよ」というような錯覚に陥る。是非はともかく、そんな感覚。

なので、このニュースもボクにとっては「あれって昨日だったかな?」という感じなのだけど、いま調べたら昨日のニュースだ。

桑田さん、早大の「総代」…大学院首席卒業「ただただ感謝」

 早大大学院で学んでいた桑田真澄さん(41)=スポーツ報知評論家=の首席卒業が15日までに決定、25日に行われる卒業式で「総代」として謝辞を述べることになった。
 スポーツ科学研究科・修士課程1年制での学業が優秀であったことは、修士論文でもすでに明らかになっていた。「野球道の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」は最優秀論文賞と、学術的に価値の高いものに贈られる「濱野賞」(日本スポーツ産業学会)を同時獲得し、6日に表彰式と発表が行われた。
 今回、新たに決まったのは1年間を通じての学習成績。卒業に必要な単位は30だが、桑田さんはそれを大きく上回り、上限となる45単位を取得。その大半が最上級の「A+」および「A」評価で、「B」は2つだけ。スポーツ科学研究科には桑田さんが所属したトップスポーツマネジメントコースをはじめ、4つのコースがあり、総勢33人の在籍の中で、前期、後期を通じて「首席」となった。
 「最高の評価をいただき、恐縮するばかりです。仲間や先生がた、そして学校。お世話になった人すべてに、ただただ感謝の気持ちを伝えたいと思います」。桑田さんは、卒業式に先立ち謝辞を述べた。


引用元はこちら(日本のニュース系はなぜか数週間で記事を消去してしまうので上に引用した)。他にもこんな記事がある。

すごいねぇ。
まぁ大学院なので33人中とはいえ、この「最優秀論文賞」&「濱野賞」ダブル受賞は史上初らしい。ちょっと参りました。

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知っている人が住んでいる国

2010年03月16日(火) 8:46:49

個人的「バレエの季節」も一昨日で終わり、日常に帰ってきた。
短い期間に6本観た。観劇に間に合うように仕事を昼間に詰め込んだので慌ただしい日々だったが、とても面白い1週間半だった。

中でも「ロミジュリ」は3回も観たので、まだ頭の中にプロコフィエフの曲が鳴り響いているが、この余韻の日々も楽しみのうち。あと数日の長い余韻に浸っておこう。

それにしても、やっぱり文化の交流って大事だな。
今回、グルジア国立バレエを何度も観たおかげで、グルジアという国が相当身近に感じられるようになった。グルジアはジョージアと同じスペル(Georgia)で、首都はトビリシ。そのくらいしか知らなかったあの国について、いろんなことを知った1週間半でもあった。国の場所を地図で指させもしなかったもんなぁ。いまなら「黒海の横のココ」と人に教えられる(笑)。地図を見ると、ゴリとかポチとか可愛い地名がある。黒海横のポチなんて、ちょっと行ってみたい(笑)

ちなみに国名はロシア語読みなので、ロシアから独立した経緯があるグルジア政府としては、日本政府に「国名表記を英語読みのジョージアに変更してくれ」と去年の3月に要請したらしいが、外務省は「アメリカのジョージア州と紛らわしいので」と拒否したんだって。へーへーへー。

ま、それはそれとして、とりあえず今後グルジアがニュースなどで出てきた場合(一昨日もロシア侵攻偽ニュースで大混乱が起こったというニュースが流れていたが)、かなり具体的にイメージできるし、実際に知っている人(ダンサー達)が住んでいる国として親身になれる。そういうことが大事。「知っている人が住んでいる国」が増えれば増えるほど、地球は小さく縮んでいく。

日本も(もちろんたくさんやっているのだとは思うが)どんどん海外に出て文化交流してほしいな。草の根レベルでもっともっと日本を知って欲しいものだ。
ただ、数日前に岩田さんから聞いた話がちょっと引っかかっている。

「日本からも海外公演でバレエ団とかがロシアに来るんだけど、彼ら彼女らは美術館とか行かないんですね。踊って市内を少し見て帰っちゃう。たくさん芸術に触れないと表現の幅は出ないんですけどねぇ」

文化交流は、あちらでのアウトプットも大切だけど、持ち帰ってくるインプットも超大事。芸術家としての成長のためにも、少々無理してでもいろいろ触れて欲しいよね。

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感動! グルジア国立バレエ最終日「ロミオとジュリエット」

2010年03月15日(月) 8:24:14

感動的なステージだった。
ここんとこ連続で6本バレエを観ているが(笑)、その中でもベストな出来。実に素晴らしかった。

ニーナ・アナニアシヴィリや岩田さんが出ることもあって、東京公演の5回を皆勤賞してしまったグルジア国立バレエ。昨日はその最終日。よかったなぁ。演目は「ロミオとジュリエット」だった。

この、ラブロフスキー振付の「ロミジュリ」について、岩田さんはブログでこう書いている。

ラブロフスキーの「ロミオとジュリエット」はクラシックバレエ最高の名作の一つでしょう。現在色々な「ロミオとジュリエット」がありますが、これはその中でも最も古い作品で、他の大半の作品はこのラブロフスキーのバレエをもとにしてあります。
要するにバレエ「ロミオとジュリエット」の原型ですね。
時代背景、役の設定、音楽の使い方など、素晴らしいの一言です。
この、めったにやらないラブロフスキー版、それだけでうれしいところ、昨日は最終日ということもあってか、出演者全員ものすごい熱演だった。「開演前に全員で決起集会開いてました」(関係者談)というように、ものすごく気合いが入っていた。触れば火傷するような熱い舞台。どうやらNHKで放映されるらしいけど、生で見ないとわからない熱さかも。

実は、「ブログを読んで、バレエ初めて行きます」という方も多く来ていたし、友人たちもずいぶん見に来ていたので、勧めた手前「イマイチの出来だったらどうしよう…」と責任を感じてたんだけど(チケット安くないし)、それも杞憂に終わった。一般的ライブパフォーマンスとしても最高レベルだったと思う。多忙中時間を作って見に来た松井官房副長官(コンサートに通っている数は半端じゃない)は「ライブパフォーマンスとしてはクライバーの『椿姫』と並んで生涯ふたつに入る」とさえ。うれしいな。

もちろん、グルジア国立バレエ自体は一流とは言えない。ニーナはもちろん、ウヴァーロフ、岩田さんといったゲストの力がかなりの部分を占める。でも、昨日はみんなの心がひとつになっていて、奇跡的な舞台になっていたと思う。

白眉はやはりニーナとウヴァーロフ。第一幕の中庭場面のパ・ド・ドゥの美しさは魂抜かれた。そして結婚式の場面。アラベスクで長く静止するんだけど、一瞬世界が止まった。ラストの場面は、あまりバレエに馴れない15歳の娘(昨日は家族で観劇)も「泣けた」とひと言。いや、ほんと、昨日はロミオやジュリエットやマキューシオの心がよく伝わってきたいい舞台だったな。踊りの技術よりも心が伝わってくるこういう舞台がたまにあるからバレエはやめられない。

実はニーナは本当に調子が悪かったらしい(岩田さん談)。
来日初日ですでに足を引きずっていたという。10日の「ジゼル」でも右足が相当悪かったようで、とても公演が出来る状況ではなく、代役まで考えたとか。でも整体でなんとか治し、ギリギリの状態で出演していたらしい。13日のさなメモでボクは、

ただ、昨晩は、ニーナの調子がイマイチだったかも。いや、安定度は素晴らしかった。でも躍動感があまりなく、まとまりの良さばかりが感じられた。第三幕が始まるのが妙に遅れたので「まさかニーナの足が悪化した?」とか心配したくらい。
と勝手に想像して書いたが、これは本当にそうだったらしい。第三幕前に「急遽代役を」と騒ぎになっていたくらい足の調子が悪かったんだって(結婚式のアラベスクで静止する場面でまた痛めたらしい)。

昨日の公演も出演が相当危ぶまれたらしいが、整体がうまく行き、足も引きずらず会場入りしたとか。
いままでの不調を取り戻すかのようなラスト・ジュリエット。もう本当にこの役やらないの?ってもったいなく思うほど。第一幕の天真爛漫さ、第二幕の清楚さ、第三幕の悲嘆、どれをとってもジュリエットの心が直接伝わってくる。至福だった。

ウヴァーロフも渾身の演技。まったく隙なし。溜息の出るようなジャンプとリフト。190センチ以上あるのに鈍重さが全くない。リフトの安定感は一昨日のマチュー・ガニオと比較できたから特に感嘆した。これってさりげなくやってるけど実は超絶だ…。

そして岩田さん! 「途中で一回こけそうになりましたー」と後で笑っていた第一幕のバリエーション。そんなこと気づきもしなかったくらいキレもよくいいダンス。で、第二幕のマキューシオが死ぬ場面。刺されてからが実に長い演技なのだけど、3回の東京公演で一番いい「死に方」だった。

公演前、岩田さんと飲みに行ったとき、「佐藤さん、死に方がよくわからないんですよ。死ぬときってどうなるんでしょうねぇ」と質問をされたんだけど、答えようもなく(笑)。でも、「『傷だらけの天使』のとき、ショーケンが『撃たれたとき、映画みたいに格好よく死ぬわけない。イタタタタと奇声を上げて格好悪く死ぬのが本当だ』みたいなことを言ってたよ」とだけは伝えた。それを少し活かしてくれたのか、本当に痛そうに、ちょっと格好悪めに死んだ。迫真の演技。

全体的にダメダメだった東京ニューシティ管弦楽団の演奏も、昨日はなかなか。
金管とかは相変わらずちょっと…だったけど、かなり迫力ある演奏だった。岩田さんも「初日からどんどん熱い演奏になっていった」と褒めていた。きっと成長している過程なんだろうな。昨日は指揮者(ダヴィド・ムケリア)も燃えていたようで、「テンポがどんどん速くなり、踊りが追いつかないくらいだった(岩田さん)」とか。でもその分、熱は伝わってきた。

と、こんな感じで、すべてがうまく回って、奇跡的なステージに。
お客さんたちもかなり熱い反応だったので、ステージ上もどんどん熱くなる。このインタラクティブさがたまらない。やっぱり舞台は「生」だなぁ。

カーテンコールはニーナの娘さんであるエレーナも出てきたり、大きな音を立てて紙テープが発射されたり、ニーナがグルジア国旗を羽織って挨拶したり、とても楽しいものになった。もちろんお客さんもスタンディングオベーション。
ニーナはもともとカーテンコールが楽しい人で、いろいろサービスしてくれる(踊ったりもしてくれる)。今回は意外とサービスがなかったので「やっぱり調子が悪いのかなぁ」と心配してたけど、昨日は最終日でホッとしたのか、サービス多めだった(笑)。決して一流とは言えないグルジア国立を芸術監督として率いた責任感からも解放されたしね。足の調子悪さを押して無事に全公演を踊り終えた安堵感もあったのだろうと思う。
ちなみに、ABT最終日のカーテンコールが観られるのでご参考までに。これなんか、サービスの極致すぎるけど。

終演後、岩田さんに会いに楽屋に行ったら、ホールみたいなスペースにビールが用意してあって、ニーナやウヴァーロフも加わってみんなで乾杯となった。ちゃっかり参加してしまった。ニーナは相当ハシャギ気味。旦那さん(元グルジア外務大臣)のスピーチや即興のテノール披露もあったりして楽しい打ち上げ。

その後、岩田さんと、家族と友人夫妻(新潟から来ていた)、そして岩田さんのマネージャーさんとで恵比寿の「焼肉チャンピオン」へ。ここには書けない裏話なども聞けて楽しい一夜。岩田さん、本当にお疲れ様。あと11年。50歳まで是非踊ってください。

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パリ・オペラ座バレエ日本公演「シンデレラ」

2010年03月14日(日) 12:45:04

もうグルジア国立バレエ4連チャンでお腹一杯だったのだけど(今日で5連チャン目)、友人からパリ・オペラ座バレエ東京公演のチケットを譲ってもらったので、昨晩行ってきた。@東京文化会館。そうか、オペラ座が来日したからグルジアが五反田に追いやられたのね(笑)

演目はヌレエフ版「シンデレラ」。
ヌレエフ版は1986年初演で、昨日で95回目の上演だとか。

原作を1930年代のハリウッドに置き換え、カボチャの馬車はリムジン、お城はハリウッドの映画スタジオ、王子様は映画スター、というシンデレラである。かなり評判が良く、人気の舞台らしい。アメリカ映画嫌いのフランス人がなぜハリウッド? と最初は思ったが、煌びやかで美しい舞台に、そんな理屈も忘れて見入ってしまった。

いやー面白かった。
コミカルで華やかで上品。センスもよくエスプリも利いている。ちょっとだけ斜に構えている感じもいい。ストーリーも楽しいが、ヌレエフの振付も素晴らしい。こういうのを観るとロシア系(ボリショイやマリインスキー)の野暮ったさが際立ってしまう。まぁその野暮ったさ(荒削りで雄大で過剰にロマンチック)が結局好きで、観るならロシア系と個人的には思ってしまうのだけど。

グルジア国立バレエで男性陣の層の薄さを4回連続で感じていたせいか、パリ・オペラ座バレエの男性陣の層が厚さとうまさに溜息が出た。下っ端でもいいからあのうち3人ほどグルジアに借りたいくらい。

シンデレラ役のデルフィーヌ・ムッサンは知らなかった人だが、安定感抜群で端正なシンデレラを演じた。もっと喜怒哀楽を強く出して欲しいと思うのはロシアバレエの見過ぎ?(笑)。映画スター役(王子)はマチュー・ガニオ。一昨年の「エトワール・ガラ2008」で観ている。リフトがちょっと下手(?)なこと以外は文句のつけようがない演技。ジャンプも着地も美しい。回転のキレがすごい。全体に上品だし。

そして、特筆すべきは意地悪な義姉役のふたり、エミリー・コゼットとドロテ・ジルベール。うめぇ。コミカル&下手くそに踊らないといけない役なのだけど、軸がまったくぶれず細部に渡って技術がしっかりしているので、下手くそさがキレイに出る。第三幕のスペインの居酒屋や中国の酒場で別役でも踊っていたが、いずれも達者。こういう脇役がうまいとステージがキリリと締まって気持ちいい。
脇役で言ったら、継母のステファン・ファヴォランも素晴らしい。笑いを取りまくり。バレエで笑いを取るって超難しいのにサスガ。あと、ダンス教師のマチアス・エイマンもうまかったな。

くわしいストーリーと写真&動画はこちらに載っているので、興味ある方はどうぞ。チャップリンやらキングコングやらも出てきて、本当に楽しい良い舞台だったと思う。

さて、今日はグルジア国立バレエの最終日。今週はこれでバレエ4本目(笑)。何事も「固めて経験する」のがコツですな、と、自分に言い訳しつつ、アナニアシヴィリとウヴァーロフと岩田さんの競演を楽しんでくる。この3人で踊るのはもう二度とないだろう。

余談:パリのオペラ座(ガルニエ宮殿)は、6年前に岩田さんと一緒に隅から隅まで(舞台裏から奈落から稽古場まで全部)探検したことがある(そのときのさなメモ)。
そして特別に舞台袖(緞帳横)にパイプ椅子を置いて観劇させてもらった。ザハロワが荒い息で1m横からステージに飛び出していく世界。あんな体験ありえないなぁ…。6年前よりずいぶんバレエ・リテラシーが上がった今なら、きっともっともっと興奮しただろう。

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岩田さんに芸術選奨!

2010年03月13日(土) 10:19:09

岩田守弘さんが平成21年度「芸術選奨」を受賞した。
モリ、本当におめでとう。誇りに思う。

芸術選奨って他にどういう人がもらってるんだろー、と、文化庁のサイトを見てみたら、坂本龍一さんも同時に受賞。細田守さんは新人賞をもらってる。すごい人たちと並んでいるなぁ。岩田さんは中でもとても若い受賞者のひとりだ。

まぁ冷静に見るとその選び方がよくわからない部分もあるのだが(特に新人賞との違いとか。20年度は井上雄彦さんが新人賞だったりするし。なんで彼が新人賞なんだ?)、とはいえ平成21年度の30人の中に入ったのは素晴らしいと思う。ロシアというアウェイで孤独にがんばっている彼を認めてくれたのは友人としてとてもうれしい。

実は一週間前にはもう受賞はわかっていたのだが(正式発表が昨日)、岩田さんもあまりピンと来てなかったようだ。まぁ文化庁に認められるために踊ってきたわけじゃないし、メドベージェフ大統領から贈られた友好勲章の方がずっとうれしいのもわかる。でも授賞式に出れば実感湧くのかな。授賞式はラッキーなことにロシアに帰る前日の19日だ。

昨晩は、その岩田さんも出演しているグルジア国立バレエ「ロミオとジュリエット」。

ええ、すいません、ホント最近バレエ・ブログすね。
まぁでも時季的なもの。もう今週でオシマイなのでご勘弁を。今日パリ・オペラ座バレエに行って、明日グルジアの東京最終日に行ったら、しばらくバレエともお別れだ。

というか、ここ2年くらい、男性のバレエ観客が増えていてうれしい(少しは貢献できたかな)。3年前くらいは1割くらいしか男性観客がいなかったんだけど、今年なんか3割くらいに増えた感じがある。
「振付がわざとらしいしキモイ」「おとぎ話を見せられてもさ」「コスチュームが気恥ずかしい」「キレイゴトやってんじゃねぇ」…みたいなネガが男性からいろいろ言われるし、そういう部分も確かにあると思うけど、極限まで鍛え抜かれたダンサーたちが音楽を体現してくれる様は見慣れれば見慣れるほど快感に変わる。総合芸術としてとてもよく出来ているとボクは思う。女性に独占させておくのはもったいない。

ま、ボクも見始めた初期は「?」が多かった。同じようにネガを感じていた。
モスクワで集中的に観劇してからは「世界トップの凄さ」を知って大ファンに変わったが、それでも今考えると超絶技巧ばかり喜んでいたと思う。
でもね、いまでは、超絶技巧だけだったらビデオでアップで見てればいいと思っている。いまは「生でダンサーたちの躍動を感じたいし、彼らの『表現』が観たい」と思っている。生じゃないとそれが伝わってこないし、オーケストラも生じゃないと熱さは伝わってこない。稀に両者が至高なレベルで高まり合うステージがあって、そういうときの感動は計り知れない。そういう瞬間を求めて、毎回高いお金払って見に行っている感じ(その金額に見合う感動が稀にあるからやめられない)。

それはともかく、昨晩の「ロミジュリ」。

これで今回の東京公演を観るのも4回目なので、アラもいろいろ見えてくる。群舞もオケももっとがんばってほしい。でも、決してレベルが高くないグルジア国立を芸術監督のニーナ・アナニアシヴィリがしっかり締め、とてもまとまりのいいステージにしてくれていると思う。

ただ、昨晩は、ニーナの調子がイマイチだったかも。いや、安定度は素晴らしかった。でも躍動感があまりなく、まとまりの良さばかりが感じられた。第三幕が始まるのが妙に遅れたので「まさかニーナの足が悪化した?」とか心配したくらい。ただ、ウヴァーロフが相変わらずの熱演でそれも救われた。岩田さんもとても良かった。軽やかでコミカルで、マキューシオの陽気な一面をとてもよく表現していたと思う。東京公演初回より今回の方がボクは良かったと思うな。マキューシオの死に方については少し演技を変えていた。明日の最終日はどんな死に方を見せてくれるだろう。

アナニアシヴィリもウヴァーロフも、ほんと、いつ引退してもおかしくない。来日ももうそうはないだろう。岩田さん曰く、ウヴァーロフも引退をほのめかしているらしいし(まぁほのめかし出してからが長い人も多いけど…)。
あと1回。明日の公演も目を皿のようにして集中して観るつもり。このふたりのペアは1+1が3にも4にもなるところがある。明日がそうだといいな(ボクの知り合いもたくさん来るみたいだし、ツイッターやブログで知って初めてバレエに行くという人もたくさんいるようなので。いい舞台になるといい)。

余談:ニーナが今回持ってきているジュリエットの衣装だそうだ。8着持って来日しているらしいけど、実際には1回の公演で6着しか着ないので、公演毎にその日どれを着るか選ぶんだって。

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インビクタス。そしてモリ&オリザ

2010年03月12日(金) 8:46:51

以前から岩田守弘さんを平田オリザさんと繋げようと画策していたのだが(バレエと演劇ということもあるが、なによりも芸術立国論的な部分で話が合うと思ったし、この出会いが将来なにかの芽に育つ気がしてたから)、それがようやく昨晩かなった。

最初は19時から会うことにしていたのだが、今晩公演する「ロミオとジュリエット」で急遽代役が出たらしく「佐藤さん、急に通し稽古しなくちゃいけなくなったんですね」と岩田さんから連絡があり、オリザさんと調整した結果、22時からに変更することにした。

さて、どうしよう。時間が余った。
打ち合わせを19時前に銀座で終え、22時まで何もすることがない。長谷川等伯展は(昨日の木曜日は)17時までだしなぁ。会社に帰って仕事するか。それとも…。

そこでビビビと思い出した!(サンキュー、オレのシナプス!)
映画「インビクタス」が観たかったんだったったっ!

iPhone先生で調べると18:50から有楽町マリオンのピカデリー3でやっている。
いま飛び込めばまだ予告編だし大丈夫。

ということで、クリント・イーストウッド監督の新作「インビクタス/負けざる者たち」を観た。
もうすぐ公開終了なのでギリギリだった。間に合って良かった。

感想をくわしくは書かないが、いくらでもハリウッド的誇張を駆使できるこの題材(実話)を、端正に、ニュートラルに、淡々と撮ったイーストウッド監督の「きれいな知性」にまず感服。フェアで孤高で誇り高い。「この部分もっと盛り上げられる」「ここを伏線にすれば後半もっとグッとくるのに」とかいろいろ考えてしまうが、それをやらずに淡々と撮っていったところがいい。とはいえ、劇中何度も泣かされたけど。

心の揺れみたいなものの描き方(「ミリオンダラー・ベイビー」と似ている描き方)の最低限さとそのうまさ、「グラン・トリノ」と通じるような社会的メッセージ。モーガン・フリーマンとマット・デイモンの熱演。とてもよく出来た映画だと思う。

引用されていたウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩をネットで見つけたので全文載せておく。大切なことを思い出させてくれた感謝を込めて。


 インビクタス
 
  私を覆う漆黒の闇
  鉄格子にひそむ奈落の闇
  私は あらゆる神に感謝する
  我が魂が征服されぬことを

  無惨な状況においてさえ
  私は ひるみも叫びもしなかった
  運命に打ちのめされ 血を流しても
  決して屈服しない

  激しい怒りと涙の彼方に
  恐ろしい死が浮かび上がる
  だが 長きにわたる 脅しを受けてなお
  私は何ひとつ 恐れはしない

  門が いかに狭かろうと
  いかなる罰に苦しめられようと
  私が我が運命の支配者
  私が我が魂の指揮官


終了後、通し稽古を終えた岩田さんと五反田で待ち合わせ、駒場の「こまばアゴラ劇場」へ(アゴラはオリザさんが芸術監督をしている劇場)。
移動中、岩田さんに「インビクタス」のことを話したら「あ、観たんですか! ボク、2回観ました! 今日の昼も両親と観てきました!」とのこと。偶然だねぇ。ふたりでこの映画の凄さや征服されぬ魂について語り合う。

オリザさんとも無事に会えて、一緒に近くの居酒屋「英香」へ。
途中から松井官房副長官も飛び入り参加して、みんなで芸術や劇場の未来について話し合う。松井さんは落語やクラシックを中心に幅広く芸術に触れている人。話題は多岐に及んで楽しかった。


私は あらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを

私が我が運命の支配者
私が我が魂の指揮官

インビクタスの詩を何度も反芻しつつ、25時半すぎに帰宅。
ネルソン・マンデラの27年間に及ぶ投獄と、その後の信念、赦し、礼儀、誇りに、思いを馳せる。

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