天国と地獄  --97.10.17




娘が生まれて2年と半分。

我が家にも着々と「ディズニー」が侵略してきている。


ふと気が付けば
かかっているCDは「ディズニー名曲集」だし、
かかっているビデオは「ピーター・パン」だし、
置いてある絵本は「不思議の国のアリス」だし、
マグカップが「くまのプーさん」だったりする。

考えてみれば、なんだか不気味な状態なのである。
これはディズニー・ファッショである。
思想統制みたいな怖さがある。


うちは夫婦共に「甘ったるいこと」みたいなものがキライな方だ。
だからディズニーはある意味で天敵なのだ(キティちゃんとかよりはましだが)。
娘が生まれる前はディズニーの‘ディ’の字もなかった家なのである。


しかるに!
かくも見事に侵略されておる!

子供を押さえられたのが痛かったなぁ。
子供さえ押さえられなければ、ディズニーごときの侵略は許さなかったのである。 家に一歩たりとも入れなかったのである!





な〜んて言いながら、

ついこの前、ディズニーランドに行ってきてしまった。


ディズニーのキャラクターと遊びたかったわけでは決してない。
乗り物に乗りたかったわけでも絶対ない(ビッグ・サンダー・マウンテンにはすこし乗りたかったが)。

これも娘の喜ぶ顔を見たいがためである。
自分がこんなに親バカになるとは、娘が生まれるまで想像もしなかったのであるが、どうしても彼女がキャーキャー喜ぶ姿が見たくなってしまったのだ。



ここに来たのは十何年ぶりかな。

相変わらず古びない遊園地だ。 維持管理が徹底しているのであろう。


連休明けですいているかなぁと期待して行ったのであるが、異常に混んでいた。
まぁ季節がいいから仕方ないのであるが、人混みをものすごくきらう僕には試練だった。それもこれも2歳半になる娘の喜ぶ顔を見たいがためである。

朝11時に入って、夜21時まで。
途中、娘の昼寝・食事を挟んで「白雪姫」「ピーターパン」「ミッキー・レビュー・ショー」「ジャングル・クルーズ」「カリブの海賊」「ホーンテッド・マンション」を見た。トゥーン・タウンは異様に混んでいたから「ミニーの家」とかは諦めた。大人用の新しいアミューズメントもあきらめた。娘が喜ばないからである。まぁ「カリブの海賊」や「ホーンテッド・マンション」も喜ばなかったが。

でも、何と言っても昼と夜のパレードが、やっぱり圧巻であった。

他のアミューズメントでは反応がイマイチだった娘も、パレードでは狂喜乱舞した。うん。この姿を見にわざわざ舞浜まで出かけてきたのである。

ヒゲ面の僕も、喜びで思わず顔がゆがんでしまうのである。
端から見たらさぞかし不気味であろう。
あぁ、すっかり親バカである。


帰り際、ディズニーのおもちゃ屋にも寄った。
娘はこれまた狂喜乱舞したのである。

思えば娘をおもちゃ屋に連れていったのはこれが初めてなのである。
家ではおもちゃも全然買わない主義であった。

娘には大天国であったろう。目の輝きが違う。


んん〜。ビデオを持ってこなくて良かったのだ。
もしビデオを持ってきていたらもう回しっぱなしのバカオヤジになってしまっていたのである。 ちょっと撮りたい気もするが、あの「ビデオ回しっぱなしニヤケ顔オヤジの図」が死ぬほど嫌いな僕にとっては結果的には良かったのだ。

とりあえず、娘は喜びまくった。

生まれて初めて「ミニーのシステムキッチン」なるおもちゃも買ってもらって、幸せは頂点に達したようだ。普段出さない声を出す。

「うわ〜!うわ〜!」


こんなに喜ぶものなんだなぁ……会社を休んで来て良かったなぁ……これならもっと早く連れてくればよかったなぁ……。

夜、泊まっている東京の実家にて、夫婦でお茶をすすりながらそう話し合ったものである。
これは親にとってはある意味で「天国」だったのだ。

「またディズニーランド連れて行ってあげようね」
「うん、そうしよう」
「こんどは春かしら」
「いや、冬でもいいな」
「そうね、早い方がいいわね」




が、


が、しかし、



夜中に「地獄」が待っていることは思いもしなかったのである。




あまりに興奮した娘のきょうこは、癇がたってしまったのか、
今まで聞いたことないような声で泣き狂ったのである。



ギャビギョエゲ〜〜〜〜〜!



どひぇ〜!!
なんだこの声は!これが人間の泣き声だろうか?

深夜2時。まだ泣きやまない。
深夜3時。まだ泣きやまない。
深夜4時。やっと寝入ったかと思ったら、
深夜5時。また泣き狂いだした……




地獄だ。




刺激が強すぎたようである。
初めての遊園地。初めての大好きなキャラ達との遭遇。初めてのおもちゃ屋。初めての自分のおもちゃ。



感情の許容量を越えてしまったようだ。



翌日は親子3人、ミッキーマウスがはいているパンツのように、
見事に目が赤かったのであった。




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