ディズニーの逆襲  --00.10.20





この前の日曜日、会社の行事で東京ディズニーランドに行ってきた。

いわゆる「秋祭り」みたいなものである。
昔はありがちな「運動会」だったらしいが、13年前から場所をディズニーランドに移し、午前中だけ集合して午後は自由、という方式に固まったようである。

会社の行事は飲み会からゴルフまで、よっぽどでなければ参加しないボクであるが、5歳の娘がいる身としてはディズニーランドという餌はおいしすぎる。以前一緒に行ったときの娘の喜んだ顔も記憶に新しいしね(3年も前だけど)。パスポートもタダだし。食券までついてくるし。

ここんとこ「人生=時間」説を連発してたせいで、どうも反会社的人間とレッテルを貼られたようであるが、別に反会社人間でもないよ。ライス・ワークしつつ、会社が与えてくれている「いい時間」もちゃんと楽しんでいる。このディズニーランドだって、まぁ上手に利用すれば楽しい時間である。



でもまぁ、なんつうか、久しぶりのディズニーランドは・・・あまりにも「夢と希望」のオンパレード。

うぅ、娘の目と耳をふさぎたくなったな。

やっぱりウチの子供にはこういう強制的「夢と希望」洗脳は受けさせたくない! という想いで夫婦共々一致したのである。
批判精神がちゃんと芽生えるまではもうディズニーランドには行かせたくない、とまで思った。
単なる「キャラクターランド」「楽しさ満点の遊園地」ならそれはそれでいいのだが「人生、夢とマジックだらけ!夢は必ずかないます!」みたいな思想を画一的に押しつけるのは、ちょっとイヤ。

まぁ子供がめちゃくちゃ行きたがるから、一年に一回、この秋祭りの日だけは来てもいいが(タダだし)、基本的には「やっぱり我が家はディズニー排除方向の教育」ということで方針確認できたのである。


悪いね、響子。
父と母はアソコが嫌いなのだよ。
激しい情報社会を生きていかないといけないキミだから、最小限のディズニー体験はさせてあげるけど、どっぷりつかるのだけはご勘弁。ああいう「精神オコチャマ化計画」にキミを乗せたくないのだ。


ウォルト・ディズニー個人はスゴイと思うんだけどね。伝記もかなり面白かったし。
最初は上質のエンターテイメントだったのだ。見ていて楽しく幸せになる、そういった種類のエンターテイメントだった。そこにいつからか後継者が「哲学」を乗せるようになってしまった。ウォルトが作った映画から「夢と希望」みたいな部分だけ引っぱり出してきて「哲学」にしてしまった。

まぁそういうエンターテイメントを長くやってくると「哲学」になってしまうというのは世の常なのだけど。上質かつ先鋭のロックバンドが、後年には思想・哲学を語り出すようにさ。

でも、そこに思想を乗せ出すといきなり胡散臭くなるんだよなー。出来ればエンターテイメントに徹して、思想・哲学を語って欲しくないのである。受け取る側は(その人なりに)ちゃんと受け取っているのだから。受け取る人を信用して欲しいのだ。
エンターテイメントに徹しているローリングストーンズやKISSを偉いと思うのはつまりそういうこと。特にKISSは偉いのだ!(そういえば解散ライブ、延びたねぇ・・・)


ちょっと残念なのは、東京湾トンネルを通ると、新居からディズニーランドまで車で25分で着く、という事実。我が家がディズニー・フリークだったら、こりゃ天国みたいな環境だったのにねー。
ま、お台場にいたっては15分で着くから、フジテレビ天国的に生きていくか(もっとイヤです)。





ちゅうことで、反ディズニーな佐藤家であるが、「プーさんのハニーハント」「グーフィーの家」「ピノキオ」「ワンス・アポン・ナ・マウス」「ミート・ザ・ワールド」「ミッキー・レビュー」「パレード」「スプラッシュ・マウンテン」「ミクロ・アドベンチャー」などと、ちゃっかり回ってきました。
むはは。相変わらずの貧乏性。

新パビリオンの「プーさんのハニーハント」などもう発狂的長蛇の列であったし、どこもかしこも異様に混んでいたからロクなものが見れなかった。
それに、冷めた目で見ると(ヤなヤツだな)、出し物それぞれ書き割り多用でやけに安っぽいではないか。短いしつまらんではないか。洗脳空間で無批判に見ているとちょっと楽しげだが、我にかえって冷静に考えるとそれほどでもないではないか。(あ、「ミクロ・アドベンチャー」は良く出来ていた)



「なんか・・・イマイチだわね」
「うむ。掃除やメンテが行き届いているし、従業員の質も高いから錯覚しやすいけど、出し物自体はさ、よく出来た子供だましという感じかな」
「そうね、良くできているけど、底が浅いというか」
「まぁ遊園地だから楽しけりゃいいんだけど、なんでも夢と希望でくくるのが気にくわんな」
「やーよねー。帰りましょうか」

うはは。
わざわざディズニーランドまで来て、ここまでディズニーに批判的な夫婦も珍しいかも。

娘は横でハラハラしながら夫婦の会話を聞いている。
彼女はもちろん帰りたくないのだ。楽しくて仕方がないのだ。むーん。わかるけどね。わかるけど、やっぱりディズニーは我が家の教育方針とは合わないのだよ。ごめんね、響子。





しかーし!

ディズニー恐るべし!

ここまで意識的にディズニー排除しようとしている佐藤家に、無理矢理でも入ってくるのがディズニーなのであった。




それは会社の集会が行われた「ワンス・アポン・ナ・マウス」の会場で起こった。

社長の話とディズニー・ショーの合間に抽選会があったのだ。

会場先着1000名にカードが配られて、そのカードに書いてある番号によってディズニーグッズが当たる、という抽選会。カードには番号がひとつだけ書いてある。我が家は3人だから3枚。赤の7と黒の2と赤の2がそれぞれに書いてあった。

賞品はみっつ。
「ディズニーの写真立て」「プーさんのクッション」「グーフィーのぬいぐるみ」。

それぞれ50名に当たる。
1000名中の50名。
会場は欲しがっている人でワイワイザワザワしている。

でも、相変わらず我が家はこんな調子。

「いらねぇな」
「いらないわ」
「出るか」
「でも抽選会のあとのショーがちょっと見たい」
「そうだなー。じゃーまぁそれまでいるか」

響子はすごく欲しがって、ボクたち3人がもらった計3枚のカードを握りしめている。
ま、諦めなさい。
我が家がディズニーグッズで浸食されるなんて、お父さんは我慢がならないのだよ。
それにラッキーなことに佐藤家はクジ運が悪い。諦めなさい。ね。




司会の女の人がにこやかにしゃべる。

「じゃー、ひとつめの賞品ですねー。50名の方に当たりますよー。1000人中の50人ですからねー、20人にひとり、当たりますからねー・・・ええと、赤の7番のカードをお持ちの方、おめでとうございますーー!」



響子「当たったーーー!」




ぐは!!
ディズニー写真立て、我が家のリビングを浸食!!





うわ、当たっちゃったよ。
よりによってこんなところで運を使っちゃったよ。げげー。なんということだ。

夫婦ふたり顔を見合わせて渋い顔。
いらねーよなー・・・。

「やったやったーーー!」

響子はぴょんぴょん飛び上がって喜んでいる。
まわりの席の人はうらやましそうにこちらを見ている。

うぅ。
ここまで喜ばれるとなー、もらったものを捨てろとは言いにくいよなー。
まぁしばらく置いておいて、そのうち気がつかないように捨てるか。

うーむ・・・・



なんて算段をしていたら、次の抽選が始まっていた。





「ふたつ目の賞品は、黒の2番のカードをお持ちの方ーー!」


響子「やったー! 当たったーーー!!」






どっへーーーー!
プーさんクッション、我が家のソファーに鎮座決定!!









な、な、なんだよオイ、また当たり??
20分の1の確率が2回続けてってこと?
つまりは20分の1の二乗??
400分の1の確率なわけ??

そ、そんな、いや、ボクたちクジ運悪い家族なわけで、あの、げげー、いらねーー!

回りの目が嫉妬に変わる。
ふたつも当たっている人なんていないのである。
うぅ。渋い顔しているのは別に照れてるわけではなくて、ホントにいらないの。欲しくないのよ。やだよーー。やめてくれーーー! 第一、インテリアに合わねーーー! 勘弁してくれーーー!








「じゃー最後、三回目の抽選をはじめたいと思います。最後はグーフィーの大きなぬいぐるみ。ホラ、素敵でしょう? これも50名の方に当たりますからねー」




・・・やだぞ。

   やめろよな。

   絶対ヤだからな。

   勘弁しろよな。

   お願い。

   やめて。

   絶対イヤ。

   イヤなの。

   ホントにイヤなの!

   許してーーーーーーー!!














「・・・赤の2番のカードをお持ちの方、おめでとうございまーーーーーす!」

「当たったーーーーーーーー!!!!!!」






















イヤーーーーーッッッ!!

グーフィーの大きなぬいぐるみ、我が家のベッドで添い寝決定!!!














・・・ど、ど、ど、ど、どういうこっちゃ?
   20分の1の三乗だから、、、8000分の1の確率?
   いや、3枚もっていたから「50/1000×3の三乗=8000分の9」なのだろうか。
   わ、わからん! が、と、とにかく異様な確率だ。
   3枚カードをもらって、3枚とも当たるなんて。。。


回りは驚きにザワザワしている。
毎年この抽選会に来るけど一回も当たったことないのに!などと言っている声も聞こえる。
うぅぅぅぅ。
出来ることなら代わって上げたい・・・。

夫婦ともに、しばし呆然。脱力。
これはある意味「クジ運が超悪い」ということなのか・・・。

いや、ここまでいらないと思っているものがすごい確率ですべて当たるなんて、クジ運が悪いとかそういう問題じゃなくて、もっと超常現象的な・・・






舞台ではショーに出てきたミッキーマウスが「夢と希望をかなえるには、ちょっとだけマジックがいるんだ!」などと叫んでいる。


・・・・・・マ、マジックなのか?


この日ディズニーランドに来た夥しい人の中でたぶん一番ディズニーに批判的な夫婦に対する、これはディズニー・マジックなのか !?
ディズニー排除教育の佐藤家に対する、ディズニー普及洗脳マジックなのか !?


そうか?
そうなのだな??



こわい。
こわすぎる。
黒魔術使いか、おまえらは。

そんなこわい魔法使うなーーーー!







うぅー、きょうこーー、今日当たったディズニーの賞品さぁー、誰か仲良しのお友達とかにあげたらどうかなぁー?

「絶対イヤ。これ、私のだもん!」


むぅぅぅ。まぁそう言うだろうなぁ・・・・。





嗚呼。

その日から我が家はいきなりディズニー・グッズだらけ。
イヤなもんだから余計目につく。

隙を見てはグーフィーをふんずけたり蹴飛ばしたりしているが、一向に痛まない。

それどころか、急に寒くなってきたこのごろ、気がつくと抱いて寝ていたりする。

1週間も一緒に寝ていると、ちょっと可愛いな、とすら思えてくる・・・。





うぅ。これもマジックですか・・・?


ディズニーさん、ごめんなさい。
もう批判しないから、魔法をといて、前の生活に戻してー!(泣叫)






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