ビンボー神の粋なはからい  --00.12.21





ビンボーなのである。

フレンチ・レストラン・ガイドを主宰していたり、1200店近くのおいしい店リストとか掲出していたりするから、一般的にはかなりリッチと誤解されているようだが、実はわりかしビンボーなのである。

ビンボーって言ったって、きっとワタシよりマシ!
さとなおごときがビンボーを名乗るのはおこがましい!

と、読んでいるアナタは思っているかもしれない。
まあね、ビンボー自慢になったらアナタに負けるかもしれない。


でもでもでも!!

世の中のビンボーさんと対決する気はまるでないけど!
でも!
ボクにとってはここんところずっと、画期的にビンボーだったのだ!!!



12月頭なんか、銀行に残高が2350円!!!



いいっすか?
財布に残っているお金じゃなくて、メインバンクのメイン預金口座の残高が2350円なのよ!!

と、と、としが越せるのだろうか・・・。




「いったい何でこんなにお金がないんだろう?」


ある晩、我が家では深刻な話合いが行われた。

「うーん・・・車だって、エアコン効かないボロ車に我慢して乗ったしねぇ」
「乗ったなぁ。暑かったなぁ」

中古で5年前に買った車のエアコンが壊れたのだが、修理代金を工面できなくて、結局そのままにしてあるのだ。 夏は地獄であった。つうか、ほとんど乗らなかった。つまりガス代もほとんどこの夏はかからなかった。一挙両得である。

「洋服も買ってないしねぇ」
「買ってないなぁ」

優子も響子も去年のものを着ている。
響子は日に日に大きくなるが、数年前の海外出張ラッシュのときに6歳用とか7歳用とか、いっぱいお土産に買ってきていたので、なんとかそれで間に合わせている。
ボクはといえば、今年は一着しか買っていない。冬用にビニール地の長〜いコートを買っただけ。あ、ユニクロでタートルを買ったっけ。

「学費もかかってないし」
「公文式とピアノ教室だけ、だよなー」

お受験はさせないし、塾も行かせていない。
来年4月に入る小学校も近くの区立小学校である。響子には申し訳ないくらいお金をかけていない。

「旅行もしてないし」

今年は一度「名古屋旅行」をしただけ。あ、関西に住んでいたときに「広島旅行」もしたか・・・。
でも両方とも車でブーンだから、ま、貧民旅行に近い。海外行きたいよー。

「外食もそんなにしてないし」

フレンチもあまり行っていない。東京に来たというのに寿司すらほとんど行っていない。
外食も(東京に来てからのボクのおいしい店リストの増え方を見ていただければわかると思うが)極力減らしている。

「ゴルフもしてないし、女性がいる店にもここ数年行ってないし」
「ワインも1000円代のばかり飲んでいたし、チーズもそんなに買ってないし・・・」
「本やCDも必要最低限しか買ってないし」
「遊びに行かず、早く帰ってウルティマオンラインする日が多かったし・・・」



・・・「やっぱりローンかぁ(大溜息)」



どうやら新居のローンを甘く見過ぎたようである。

関西に住んでいた頃は東京出張が多かったので、出張費をうまく浮かせたりして(安いホテルに泊まったり、東京の自宅に泊まったり)、なんとなくお金が回っていたのだな。
東京に住みはじめて、以前より残業量も減って(以前が非常識だったのだが)、新居に必要なものもチョコチョコ買ったりして、思ったよりローンが響く家計体質になっていたようである。

うぅぅぅぅ。

だいたいからして、ローンを組む人生なんて予定外だったのだ。
いつでも腹括れるように「借金しない人生」を歩んできたというのに、ここに来て何を血迷ったか家を買ってしまった。親との二世帯同居を選んでしまった。

まぁ一人っ子だから介護だのも心配だしと勝手に思ってしまって(親は「われわれは勝手にやるからいい」と言ってくれているのに)、なんとなく「家を建てる」という選択をしてしまったのだよなーー。
しかも「どうせ建てるなら、せっかく親の土地に建てるんだし、キッチリ考えて良い家を建てよう」などと舞い上がり、それなりに有名な建築家に頼んでの注文建築。
あっさり当初の予算をオーバー。むぅ・・・。

まぁ新居を建てたときの顛末はそのうちコラムに書こうと思っているけど、結果としてはわりといい家が建った。建築雑誌に取り上げられたりして自己満足もした。暮らしやすいし、工務店も良かったせいか作りがしっかりしていて気持ちもいい。満足至極である。

でもでもでも!

家のおかげで生活が圧迫されるなんて、本末転倒ではないかー!
そういうバカを一番笑っていた当の本人が、こんなことでどうするのだーーー!






「でもアナタ、2350円でやっていける?」

優子にこう言われたのは12月の4日の月曜日だったか。
ボーナスは12月8日の金曜日に出る。
それまでの一週間、2350円でやっていかなければいけなかった。
(家計費は別に先渡ししているので、2350円は実質的にボクが生きていくためのお金となる)

トップページのひと言欄に「ウォーキングにいそしむ毎日」と書いたのはその頃。
その週のボクは実に健康的であったのだ。
なにしろ電車代すら惜しい。地下鉄に乗らずとにかく歩いた。歩いて行き着けるところならすべて歩いた。電車なんかもったいない。タクシーなんてとんでもない。とにかく歩け歩け!
そういえば駿台の大岡師は「歩くことは考えることです」って言ってたな。確かに歩くといろんな考えがどんどん浮かぶ。うむうむ。

昼メシはすべて社員食堂。
ここだと給料天引きでメシが食べられるから、現金を使わなくてすむ。
夜メシはすべて家。
買い置きの食材をチマチマ食べて凌ぐ。

いやぁ、人間、お金を使わず、生きられるじゃん!!!





ボーナス日を翌日に控えた12月7日。
よくぞボク。よく持った。よく耐えた。

ボクは自分へのささやかな贈り物を買った。
むはは。むちゃくちゃささやかだぞ。
なにしろ145円のチョコである。


この前大阪に出張したら、元いた部の人たちのiMAC周りに動物のフィギュアがいっぱい置いてあった。
「なによ、これ?」って聞いたら「お前知らないのか?」と驚かれ「これはいま異様に流行っているチョコのオマケである」と宣うではないか。

その名もチョコエッグ。
コンビニで買える145円の卵型チョコなのだが、その卵の中に実に精巧なオマケが入っているのである。
海洋堂というその道ではカリスマ的なメーカーの、これまたカリスマである松村しのぶというフィギュア造形家が作ったそのオマケ、確かにとても良くできている。
で、原価はほとんどこのオマケに取られているだろうと思われるところもすごいのだが、これのもっとすごいところは「レア」戦略を取っているところなのである。

シリーズがあって、例えば「日本の動物シリーズ第4弾」は24種類のオマケがある。
ムササビだのキレンジャクだのアライグマだのウミネコだのスルメイカだのイシイルカだのトノサマバッタだのモリアオガエルだの・・・どれが入っているかわからない。
24種類のフィギュアがアトランダムに卵形のチョコの中のカプセルに入っているのである。
ただ、その24種類に入らないシークレット動物というのが存在して、それを手に入れるのは至難の技だということだ。つまりレア物なのだ。

「あのな、それだけじゃなくてな、地域によって売っているシリーズが違うんだよ」

関西の元同僚たちは先を争って教えてくれる。

「関西では『ペット動物シリーズ』、東京では『日本の動物シリーズ』。そんでな、ほら、これ見てみ。この『盲導犬』はな、『ペット動物シリーズ』の超レアなのだ」

へー、って何気なく触ると「おいこら、もっと丁寧に触れ!」と言う。

なんでもヤフー・オークションで10万円とかの値が付いたりするらしいのだ。

「解説書とかも捨てたらアカンぜ。そういうのも含めて10万だから」

そ、それにしても、10万とは!




話は12月7日に戻る。

その時はフーンって感じで「物好きだなぁ」と流していたが、その日、コンビニ前を通ったボクはふと「そういえばチョコエッグ、本当に東京でも売っているのかなぁ」と寄ってみたのだった。

あるあるある。

なんとチョコ売場ではなく、レジ横にコーナーとして独立してありやがる。

こりゃ本当に流行っているのだなぁ・・・。
ま、この一週間、まるでお金使わなかったから、少しくらい買ってもいいか・・・。

で、チョコエッグを4つ買った。
その時の残金1000円を切っていたから、すっげーー高く感じた。

関東でいま買えるのは『日本の動物シリーズ第4弾』。

家に帰って早速開けてみた。

一つ目。
ほー、なるほどー、こうやってチョコを割ると、中にカプセルが入っているのね。

それは黄色いカプセルだった。
なにやら細かい部品がいっぱい入っている。
組み立てると、とてもキレイな『キタダニリュウ』という恐竜が出現した。
なんでも日本で絶滅した固有種らしい。





145円のチョコのオマケとはとても思えないよなぁ・・・。すごく良く出来ている。

でも、日本の動物シリーズなのに、なぜ恐竜・・・・・・?

さっそくこことかこことかのチョコエッグホームページで調べてみる。

すると・・・






おおおおおお!

チョコエッグ初体験のひとつ目で「超レア」ゲットォォォォ!!!!





すげぇ・・。
ひとつ目だぜ・・・。
このキタダニリュウはまさにシークレット動物。レアだったのである。

この前のディズニーランドでの当たり確率といい、今回のコレといい、すげぇ。つうか怖い。

ビンボーに耐えた私を、神様は称えてくださったのね(キラキラ)!





この話には先がある。

ボーナスが出たからって、ビンボーが終わるわけではない。
そりゃ気分的にかなり楽にはなったが、ほとんどローンに持って行かれ、次のボーナスが出る6月10日直前は今回と同じくらい大貧民になるのは目に見えている。

だから、チョコエッグにハマルのは我慢した。
ハマリたいのだが、我慢、した。
145円とはいえ、全種類集めようなどと思うと、狙って取れるオマケではないだけに、すぐ数万単位でお金がかかってしまうだろう。
レアのキタダニリュウ(白)、それに他のが数個あればいいじゃん。
ボクはとりあえず我慢した。

でも、昨日、12月20日は給料日。

ボーナス直後の給料日。
一年でもっとも豊かな気持ちになっている日である。

「給料出たんだから、まぁ少しくらいはいいだろう」と久しぶりにチョコエッグを買ってしまうこの気持ちは優子以外のすべての人がわかってくださることであろう。


実は数日前から東京でも「ペット動物シリーズ第1弾」を売り始めたらしい。

ペット、欲しいなぁ・・・『盲導犬』がレアだったっけ・・・欲しいなぁ・・・

コンビニ数軒まわるも、すべて売り切れ。
ようやく銀座の片隅の流行ってないコンビニで5つだけ残っていたのを見つけたから、とりあえず買い占める。

全部で725円。安いもんだ。


で、家に帰って、ゆっくり箱を開けてみた。





開けてみた。





開けてみた、、、、ら!!!












ペット動物シリーズ超レア『盲導犬』ゲットォォォォ!!!!!







どうです、この異様な確率!

バカヅキである。持杉ドラ夫である。
なんか開ける前から『盲導犬』入っている気がしたもんなーー!




「あなた! すぐに年末ジャンボ宝くじ、買いに走って!!!」



昨日の敵は今日の友。
いままでボクをバカにした目で見ていた優子の態度が豹変する。


優子に急かされるまでもない。

なけなしの3000円を握りしめ、ドタドタと最寄りの宝くじ売場に走るボクなのである。



   ・・・チョコエッグで運を使い果たしてないことを、
      ひたすら、ひたすら祈りながら。





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